ぎっくり腰は、なぜ起きたのか ― ゴルフスイングで起きた腰痛の本当の原因 ―

30代の男性。
数日前、ゴルフのスイングをした瞬間に腰に強い痛みが走り、その場でプレーを中断しました。

それ以降、

  • 何もしていなければ痛みはない
  • ただし、前屈みになると腰に「ピキッ」とした鋭い痛みが出る

という状態。
いわゆる「ぎっくり腰」と言われる症状です。

ぎっくり腰=見えない“ケガ”

ぎっくり腰というと、

  • 急に痛くなった
  • 何が起きたかわからない

そんなイメージを持たれがちですが、
実際には 腰まわりの組織が傷ついている“ケガ” です。

筋肉、腱、靭帯、椎間板周囲の組織など、
どこかが部分的に損傷しています。

これは、膝を擦りむいた時と同じです。
膝なら、

  • 血が出る
  • 触ると痛い

と目で見てわかりますが、
腰の場合は皮膚の内側で起きているため、見えないだけ

しかも腰は、
包帯も絆創膏も貼れない。

だからこそ、治っていないのに動いてしまうことが起きやすいのです。

ぎっくり腰にも「重さ」がある

ぎっくり腰には、重症度の違いがあります。
特に、椎間板付近の組織が大きく関わるケースでは、

  • 寝ていても痛い
  • 寝返りが打てない
  • 立ち上がるだけで激痛が走る

といった状態になります。
実は、僕自身もこのタイプのぎっくり腰を過去に2回経験しています。

寝た状態から立ち上がるのに15分。
動くたびに腰に激痛が走り、正直、泣きたくなるほどつらい。
トイレに行く、靴下を履く、顔を洗う。
そんな日常動作ひとつひとつのたびに、思わず顔が歪む。
それくらい、何をしても痛みが走る状態でした。

今回のケースは「軽症」

一方、今回の男性の場合、

  • 当日はずっと腰が痛かった
  • ただ、翌日からは安静にしていれば痛みは出ない
  • 前屈み動作の時だけ痛い

この状態から判断すると、
ぎっくり腰の中では軽症の部類だと考えられました。
そのため、回復も比較的早いだろう、という見立てです。

施術は「治す」ためのものではない

長年施術をしていると、

「整体で治してもらおう」

と思って来られる方も多いのですが、
特に今回のようなケガのケースでは、
施術が直接“治す”わけではありません。

傷ついた組織が修復されるには、
どうしても時間が必要です

ただし、

  • 回復までの時間を短縮する
  • 治りやすい環境を整える

ことは可能です。

そして、今回のような軽症の場合は、
その場で痛みがなくなるケースも少なくありません。

痛みは「体を守るアラート」

痛みは、体中に張り巡らされた
侵害受容器(センサー) が反応し、
脳に信号を送ることで自覚されます。

これは、

組織が傷んでいるから、これ以上動かないでください

という、体からのアラート。

痛みがあるからこそ、
人は無理な動きを避け、
結果として回復に向かいます。

つまり、
ケガをした直後に痛みが出るのは、むしろ自然なことです。

体は、傷ついた場所を自然に守ろうとする

実は体は、ケガをした瞬間から、
その場所を守ろうとして自然にバランスを変えます。

無意識のうちに動きを変えたり、
周囲の筋肉を使って負担を分散させたりすることで、
これ以上傷が広がらないようにしているのです。

僕が行っている施術は、
この「守ろうとする働き」を邪魔するものではありません。

むしろ、
体がうまくバランスを取れる余裕を増やし、
結果として、傷ついた腰にかかる負荷を減らすこと。

それによって、
痛みが軽減したり、
組織が回復しやすい環境が整っていきます。

さらに僕の施術では、
なぜ、今回ぎっくり腰が起きたのか?
その背景にある原因を、全身から探っていきます。

怪我は「衝撃 × 体の状態」で起きる

僕は、怪我は次の掛け算で起きると考えています。

衝撃の強度 × その時の体の状態

例えば、走っていて足首を「グキッ」と捻った経験は、
誰しも一度はあると思います。

同じように捻っても、

  • 捻挫してしまう時
  • 何事もなく済む時

があります。

この違いは、
その瞬間の足首の関節が、硬くなっていたかどうか

に大きく左右されます。
関節が柔らかければ、
捻った力をうまく逃がせる。

しかし、関節が硬くなっていると、
その衝撃を受け止めきれず、組織を傷めてしまう。

ぎっくり腰も、これとまったく同じ構造です。

硬い関節ほど、怪我をしやすい

怪我をしやすい人は、
だいたいいつも同じ場所を傷めます。

  • 足首(捻挫)
  • 膝(ランナー膝、ジャンパー膝)
  • 腰(ぎっくり腰)
  • 肩(インピンジメント、脱臼)
  • 肘(テニス肘、ゴルフ肘)
  • 首(寝違え)

共通点は、
その部位や周辺の関節が硬くなっていること。

柔らかいものは、衝撃を受けるとしなって負荷を分散します。
硬いものは、衝撃を逃がせず、ヒビが入ったり割れたりします。

関節も同じです。

ゴルフは「きっかけ」であって「原因」ではない

今回のぎっくり腰も、
ゴルフスイングがきっかけではありますが、
本当の原因ではありません。

原因は、
腰まわりが硬くなっていたこと。

さらに言えば、
その「原因の原因」が別に存在していました。

検査で見えた、本当の原因

最初の検査でわかったのは、

  • 左の腰椎5番の動きが悪い
  • その周辺の筋肉が強く硬くなっている

という点。

つまり、
このあたりの筋肉組織が傷ついた可能性が高い、ということです。

さらに全身をチェックすると、

  • 左脚の腓骨筋に筋膜の癒着
  • 右側の腎臓の疲れ

が確認できました。

筋膜は全身でつながっているため、
脚の筋膜の癒着が腰の筋緊張を高めることは珍しくありません。

また、内臓が疲れると、
その周辺の筋肉が硬くなることもよく知られています。

痛みが消えた理由

この2つにアプローチしたところ、
前屈みになった時の痛みは その場で消失しました。

ご本人も、
「あれ!? 痛くない!!」

と驚かれていました。

ただし、
これは組織の傷が治ったわけではありません。

腰椎5番付近の筋緊張を高めていた原因を取り除いたことで、

  • 筋緊張のレベルが下がり
  • 痛みを出すセンサーの反応閾値が下がった

その結果、
動いても痛みを出さなくてもいい状態になった
ということです。

ぎっくり腰は「癖」になる理由

ぎっくり腰を繰り返す人はとても多い。
年に何回か、必ずぎっくり腰になる。
そんな人には、必ず 筋緊張が高まりやすい場所 があります。

そして、その原因は、
腰とは別の場所にあることがほとんどです。

手足、内臓、過去の怪我、頭蓋骨。
複数の要因が重なっているケースも少なくありません。

本当の原因にアプローチできれば、
ぎっくり腰は 再発しにくくなります

次の記事につづく

実は、この時期になると、
ぎっくり腰になる人が一気に増えます。

そして臨床を重ねていると、
そうした人たちには、いくつか共通する特徴があることに気づきます。

なぜこの時期に起きやすいのか。
そして、どうすれば防げるのか。

次の記事では、
この時期にぎっくり腰が増える理由と、その具体的な対策について書いていこうと思います。

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