人生初の肌荒れで気づいた“腸と肌”の秘密

子どもの頃から、肌のトラブルとはほぼ無縁でした。
人から「肌がきれいだね」と言われることも多く、自分でも「肌が強いタイプなんだろう」と思っていました。


そんな自分が、先日初めて全身に肌荒れを経験しました。

きっかけは、友人たちとの山キャンプ。
翌日からお腹や太ももに赤いポツポツが出始め、かゆみも強くなり、気づけば全身に広がっていました。

「こんなに痒くなること、今までなかった」

不安になって、人生で初めて皮膚科を受診することに。
診断は「虫刺されの一種でしょう」とのこと。


安心はしたものの、それ以上に驚いたのは皮膚科にあふれる患者さんたちの数でした。
特に女性が多く、待合室は常にいっぱい。

後日、医師の友人にそのことを話したら、

肌荒れは、いまや現代病だよ。

その一言にハッとさせられました。

腸と肌はつながっている

肌のトラブルを「現代病」と考えるとき、必ず浮かぶのが腸との関係です。

腸は“第二の脳”とも呼ばれ、食べ物の消化吸収だけでなく、免疫やホルモンのバランスにも深く関わっています。

そして近年の研究で、腸内環境の乱れが直接的に皮膚へ影響を与えることが分かってきました。

ディスバイオシス ― 荒れてしまった花畑

腸の中には数兆個の細菌が暮らし、「腸内フローラ(腸の花畑)」と呼ばれます。

本来は、善玉菌・悪玉菌・日和見菌が調和し、美しい庭のようにバランスが保たれています。

ところが――

  • 甘いものや人工甘味料の摂りすぎ
  • 添加物の多い食生活
  • 抗生物質など薬の影響

こうした要因が重なると、庭に雑草が一気に広がるように悪玉菌が優勢になり、腸全体の環境が荒れてしまいます。

これが「ディスバイオシス(腸内環境の乱れ)」です。

腸が荒れると便通の乱れだけでなく、肌荒れ・ニキビ・湿疹といった形で外側にもサインが現れます。

リーキーガット ― 穴のあいたザルとアレルギー

ディスバイオシスが進むと、腸の粘膜が弱まり「リーキーガット(腸漏れ)」と呼ばれる状態が起こります。

本来の腸は、細かい網目のフィルターのように働いています。

  • 消化によって小さく分解された栄養素(糖・アミノ酸・脂肪酸、ビタミン・ミネラルなど)だけを通す
  • 消化しきれなかった花粉や食べ物のカケラ、細菌の毒素は、そのまま便として体外へ出す

ところがリーキーガットでは、そのフィルターが“穴のあいたザル”になってしまいます。

その結果、本来は無害で排出されるはずのカケラまで血液に入り込んでしまうのです。

免疫は「血液にこんなものがあるはずがない!」と勘違いし、異物とみなして攻撃を始めます。

これがアレルギー反応の正体です。

  • 花粉に反応して鼻水や目のかゆみが出る「花粉症」
  • 食べ物に反応してじんましんや湿疹が出る「食物アレルギー」
  • 皮膚に炎症として出る「アトピー性皮膚炎」

つまり、花粉症も肌荒れも同じ原理で起こっている。

「どこに症状が出るか」は人によって違いますが、根本のスタート地点は腸にあると言えます。

もちろん、アレルギーの原因はひとつではありません。

遺伝や生活環境、ストレスなどさまざまな要因が関わります。

ただ、近年の研究からも、腸バリア機能の低下(リーキーガット)がかなりの割合で背景にあることは間違いなさそうです。



短鎖脂肪酸 ― 腸と免疫をつなぐ物質

もうひとつ大切なのが「短鎖脂肪酸」です。

これは、腸内の善玉菌が食物繊維をエサにしてつくり出す物質で、腸の健康を守る“主役”のひとつ。

役割をイメージで言うと、

  • 腸のバリアを修復する大工さん
  • 炎症が広がらないように水をかける消防士

のような存在です。

短鎖脂肪酸がしっかりあると腸の壁は丈夫になり、免疫は落ち着いて働きます。

でもディスバイオシスが進むと、この大工さんや消防士が不足してしまい、腸の壁にスキマができたり(=リーキーガット)、炎症が燃え広がったりします。

その結果、免疫が暴走し、アレルギーや肌トラブルが起こりやすくなるのです。

実際、近年の研究でも「短鎖脂肪酸が少ない人ほどアトピーやアレルギーを発症しやすい」というデータが報告されています。

特に乳児期から短鎖脂肪酸の量が少ない子どもは、その後アトピーや喘息、食物アレルギーになるリスクが高いことが分かってきました。

また、アトピー性皮膚炎の患者さんを調べると、症状が重い人ほど短鎖脂肪酸の量が少ない傾向も見られるそうです。

つまり――

腸内環境が悪くなる → 短鎖脂肪酸が減る & リーキーガットが進む → 肌荒れやアレルギーが起きやすくなる

そんな因果関係が、少しずつ明らかになってきているのです。

まとめ ― 肌を治すなら、腸から

今回の体験で実感したのは、肌のトラブルは決して「表面の問題」ではないということ。

スキンケアや薬で症状を一時的に抑えることはできますが、根本的な改善にはつながりません。

腸内の庭を整えることが、肌という外の庭を整えることにつながる

「肌荒れは現代病」という言葉の裏には、現代人の腸が荒れているという事実が隠れているのかもしれません。

次回は、アトピーをはじめとする肌トラブルの“誤解と真実”をひも解きながら、肌を内側から整えるための第一歩を紹介します。

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