前回の記事では「アトピーと水分不足」について触れました。
水をしっかり摂ることは、毒素をデトックスしやすい体をつくるうえで欠かせません。
ただし、水分摂取だけでは根本的な改善までは難しいのも事実。
肌荒れや皮膚病を本質的に改善するために最も大切なのは 腸内環境 です。
以前の「人生初の肌荒れで気づいた“腸と肌”の秘密」でも触れましたが、腸のバリア機能(リーキーガット)や短鎖脂肪酸の不足が大きな背景になっています。
今回は、腸内環境を乱す要因と、短鎖脂肪酸を増やすための具体的なステップについて解説します。
腸内環境を乱す原因とは?
- 薬の影響
抗生物質やNSAIDs(解熱鎮痛薬・消炎薬)は、雑草だけでなく花まで抜いてしまう除草剤のようなもの。
病気の原因菌や炎症を抑える一方で、本来守りたい善玉菌や腸の粘膜まで傷つけてしまうのです。
腸内の多様性が損なわれると、元の状態に戻すには長い時間がかかります。 - 高糖質・高脂質の食事
甘いもの、揚げ物、精製小麦を中心とした食生活は、腸内で炎症を起こしやすい状態をつくります。
特に糖質の摂りすぎは、悪玉菌やカンジダのエサとなり、腸内環境をさらに傾かせてしまいます。
例えば「昼は菓子パンと甘いカフェラテ、夜は揚げ物とビール」という生活が続けば、腸は一気に炎症モードになってしまうのです。 - 食品添加物
代表的なのは以下の4つです:
- 人工甘味料(アスパルテームなど) → ゼロカロリー飲料やお菓子に多い
 - 乳化剤(ポリソルベート80など) → パンやケーキ、アイスに含まれる
 - 保存料(ソルビン酸など) → 清涼飲料や加工食品
 - 着色料(タール色素など) → 菓子や加工肉
 
 
食品添加物は“安全基準の範囲内”ではありますが、腸内細菌の組成や腸のバリア機能に影響を与えることが報告されています。
特に腸に強く響くのは 乳化剤、そして無意識に摂りやすいのは 人工甘味料。
この2つを意識して減らすことが、腸を守る第一歩です。
人工甘味料は“ゼロカロリーの魔法”のように見えますが、実際には腸内の住人を静かに追い出してしまう招かれざる客でもあるのです。
一度崩れた腸はすぐには戻らない
一度ディスバイオシス(腸内細菌の多様性の喪失)に傾いた腸は、残念ながら完全に元通りになることはありません。
さらに改善を試みても、腸内環境が入れ替わるにはどうしても時間がかかります。
だからこそ、悪化を防ぎながら、少しずつ整え、時間をかけて腸と向き合うことが大切です。
熱帯雨林の森が一度伐採されると、同じ姿に戻るまで何十年もかかるように、腸の多様性も一度失うとすぐには戻りません。
その腸を少しずつ立て直していくカギとなるのが、腸内細菌がつくり出す短鎖脂肪酸です。
腸を立て直すカギ ― 短鎖脂肪酸
腸内細菌が 食物繊維 や 難消化性の炭水化物 を発酵すると、
酢酸・酪酸・プロピオン酸 といった 短鎖脂肪酸 がつくられます。
短鎖脂肪酸は、
- 腸粘膜のエネルギー源
 - バリア機能の修復
 - 炎症や免疫の暴走を抑える
 
といった役割を果たします。
不足するとリーキーガットが進み、アレルギーや皮膚炎を悪化させる要因になります。
改善のステップ(3段階)
ステップ1:水をしっかり飲む
- 毎日1.5〜2Lを目安に。
 - 水は代謝を助け、老廃物をスムーズに排出し、腸内環境を整える“土台”になります。
 
ステップ2:腸に負担をかける食事を控える
- 高糖質・高脂質・添加物の多い食事は、腸内細菌の多様性を失わせます。
 - 甘いもの、清涼飲料、コンビニ飯、外食は控えめに。
 - 特に 人工甘味料と乳化剤 は無意識に摂りやすいので注意が必要です。
 
ステップ3:腸内環境を整える食事を摂る
👉 僕のおすすめはシンプルにこの3つ:
- 玄米:食物繊維が豊富で、善玉菌のエサになる
 - 具沢山の味噌汁:発酵食品の味噌+野菜や海藻で、多様な栄養と繊維を一度に摂れる
 - 納豆:発酵菌と大豆の繊維。“毎日の一品”として取り入れやすい
 
加えてよく話題になるのが ヨーグルト。
ただしヨーグルトは乳製品なので、人によっては合わないこともあります。
「食べると調子がいい」と感じる人にはプラスになりますが、逆にお腹が張る人もいるので、様子を見ながら取り入れるのがベターです。
その他にも、豆類、海藻、オートミール、緑茶・カカオ・ベリー類(ポリフェノール)なども腸にプラスです。
ただし、食べ物は個人差が大きいもの。
同じ食品でも腸内環境との相性によって「合う・合わない」があります。
だからこそ、まずは ステップ1(水)とステップ2(控える食事)を土台に整えたうえで、ステップ3ではいろいろ試しながら“自分の体の声”を聞いていくことが一番大切です。
まとめ ― 腸から肌を整える近道
水は大切ですが、それだけでは根本改善にはつながりません。
肌の不調を整えるカギは 腸内環境であり、特に 短鎖脂肪酸。
薬や甘いもの、そして添加物が腸の多様性を壊すことを知ったうえで、
- 水をしっかり飲む
 - 腸に負担をかける食事を減らす
 - 短鎖脂肪酸を増やす食事を摂る
 
この3ステップを意識し、時間をかけながら腸と向き合うことが、腸から肌を整える近道です。

			
			
			
			
			
			
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