「深呼吸をすると背中がつるんです。」
そんなちょっと珍しい悩みを抱えた30代男性が来られました。
症状が出始めたのは社会人になった頃。
疲れているときや仕事が忙しいときに特に強くなり、気づけば10年以上も続いていたそうです。
首も詰まっていて、左をほとんど向けない状態でした。
身体を検査していくと、原因は意外な場所にありました。
それは 左の第2肋骨の動き。
深呼吸のときに肋骨は大きく広がりますが、ここが固まると他の筋肉に余計な負担がかかり、背中が「つる」ような状態になるのです。
さらに詳しく探っていくと、その肋骨を固くしていたのは小学生のときの左膝の骨折でした。
実は膝の怪我で起きた組織の癒着は、筋膜を通じて全身に影響します。
筋膜はよく「全身を覆う1枚のボディスーツ」に例えられます。
だから、20年前の膝の古傷が、いま背中や首の不調を作っていたのです。
施術で膝を整えていくと、呼吸がしやすくなり、「首の詰まりもなくなってきました」と変化を感じられていました。
今回のように、症状の原因が全く別の場所にあることはよくあります。
特に骨折や古い怪我は、時間が経ってから思いがけない形で不調を生むことがあります。
だからこそ大切なのは、症状のある場所にアプローチするのではなく、“原因の原因”に目を向けること。
からだは思っている以上に、互いに影響し合っています。